学校で先生が「家族のとっておきの話を、みんなに聞かせてね」って言う。みんなは輪の形に机を並べて、にこにこして先生の方を向いているけれど、1人「何を話せばいいんだろう」と下を向く子がいます。「私の家族は、他と違うから」って……。
でも、クラスメイトが嬉しそうに自分の家族について話すのを聞いていると、実はみんな、家族の形はそれぞれ違うことがわかってきます。「お母さんとお父さんが新しい子を次々連れてきているから、きょうだいがたくさんいるの」という子もいるし、「2人のママがいる」と話す男の子や、「おばあちゃんは私のすべて」と話す女の子も。
屋上で歌ったり、絵を描いたり、一緒にスポーツ観戦をしたり、車椅子を押したり……。みんな家族と一緒にいて、とっても楽しそう。“いろんな家族があるけど、みんな、家族だよ!”というメッセージがかわいらしい絵と共に伝わってきます。
文を書いたサラ・オレアリー、絵を描いたチィン・レンは共にカナダ在住の作家で、それぞれ多数の子どもの本や、アニメーションを手がけています。
わが家では6歳の息子に、短い解説を入れながら読みました。「2人のママがいる」という場面では、「パパがいなくてママが2人いるおうちもあるんだよ」とか、新しい子を連れてくる場面では、「なにか理由があって産んだお母さんがお世話するのが難しかったら、その子を自分のおうちに迎え入れて新しい家族になるんだよ」と。どの場面でも、息子は「ふーん」「そっか!」と自然に受け止めていました。
今後、成長過程でさまざまな子に出会い、支え合って、共に未来を生きていく子どもたち。“家族はみんなそれぞれ違う。違って当たり前”という考えこそが、生き方を広げてくれそうな気がします。家族の多様性を学ぶことができる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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