空は晴天、はためく国旗。とびっきりの運動会日和!
だけど今日は、ただの運動会じゃありません。
「わたしたちは、妖怪精神にのっとり
のびたり ちぢんだり とんだり
妖怪らしく正々堂々と
競技することをちかいます」
『妖怪横丁』『妖怪遊園地』『妖怪温泉』などなど、広瀬克也さんの「妖怪シリーズ」でおなじみの妖怪たちが、こんどはみんなで運動会!
妖怪のための運動会、やっぱり、ふつうの競技は見当たりません。大玉転がしは、燃え盛る火だるま転がしだし、二人三脚では、足を結び合わせるかわりに、ふたりでデカいひとつのパンツをはいてのかけっこ! 障害物競走では、雪女に冷気を浴びせかけられ、ろくろ首のからまった首と格闘して……どれもこれも、妖怪らしい、むちゃくちゃな競技ばかりです。
聞いたことあるあの妖怪も、初めて知ったこの妖怪も、入り乱れての大混戦! 次から次に飛び出すおかしな競技を、妖怪たちは自分の個性を駆使してクリアしていきます。
そしてお昼は特製弁当。これも、妖怪らしいめちゃくちゃなメニュー……と思いきや、人間たちでも、よだれを垂らしてよろこびそうなお弁当です。エビフライにステーキにお寿司に……う、うらやましい!
晴天の下、たのしそうに競技にのぞむ妖怪たちのにぎやかな様子に、読んでるこちらも心ウキウキそわそわ、お祭り気分になる一冊です。
夜に墓場でやるのもいいけど、やっぱり運動会は青空の下! さあ、赤組白組、勝つのはどっちだ!?
(堀井拓馬 小説家)
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