今日から新しい学校、やだな。最初に聞かれるのはおんなか、おとこか。
「どっちでも いいじゃん!」
すると、まわりの子も聞かれたくないことを次々に口にします。どうして本ばかり読んでるの? どうしてそんなにちびなの? どこの国の人ですか?どうしてともだちがいないの? そんな質問しないでほしい。だれもがみんなちがって当たり前なのに。
「なにが できるかをきいて!なにが できないかじゃなくて」
そうだよね。それならはりきって答えられる。みんなは自分に聞いてほしいことを言っていきます。それは……。
学校にあつまってくるのは、個性的な子どもたちばかり。見た目だって、性格だって、聞かれたくないこと、聞いてほしいことも全然ちがいます。でも共通しているのは、自分を知ってほしいという気持ち。そうやって自分を知ってもらって、相手のことも知っていく。ひとりひとりを尊重するって、こういうことなのかな。
難しい言葉があるわけではないけれど、その会話や、魅力的に描かれた子どもたちの表情を見ていると、答えがわかるような気がしてきます。そして、こんな声が聞こえてきたら、それはもう、しっかりと耳をかたむけなくちゃいけませんよね。
「ねえ、きいて!」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む