こりすのリッキは、かけっこが得意。木の上でだって、枝から枝へぴょんぴょーん。誰にも負けません。そんな元気だったリッキがある日、病気になってしまいます。大きな病院で入院しなければならない、難しい病気です。
お医者さんも看護師さんも優しくしてくれます。リッキは早く良くなりたくて、注射も検査もがまんします。学校のおともだちもお見舞いにきてくれます。
「リッキ、はやくげんきになって一緒にあそぼうね」
一年が過ぎ、春になる頃、リッキはやっと退院することができました。久しぶりの学校はちょっとドキドキします。リッキのからだはまだ弱っていて、前と同じようには過ごせません。走ることもできないし、勉強も遅れています。それでも、おともだちに手伝ってもらいながら、少しずつできることが増えていきます。これなら、もう木のぼりもできるかな……?
病気を治して退院する子どもたちの喜びは、本人はもちろん、それを見守っている大人たちにとっても、計りしれないものがあるでしょう。ところが、その後学校に戻って生活をすることがどれだけ大変なことなのか、緊張を強いることなのか、あまり知られてはいません。
少しずつ元気になっていくリッキの姿が丁寧に、そして可愛らしく描かれたこの物語。誰かの力になれることを考える、そんなことから始められたらいいですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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