おかあさんとおとうさんとおさんぽに出かけた公園で、リジーがまっすぐにかけよったのは、雲うりのおじさんのところ。まるくてほわほわだったり、オウムやウサギ、ゾウのかたちをした雲もありましたが、リジーが選んだのは、ふつうのかたちの雲。
雲とのくらしには、決まりが色々あります。リジーは名前をミロとつけ、毎日ていねいに水をかけ、お天気が良い日にはおさんぽに連れていき、いっしょうけんめいお世話をしました。季節はめぐり、もくもく、もくもく、ミロはどんどん大きくなっていきます。そして、とうとうリジーの部屋の天井をすっぽりと覆いつくすまでになり……。
ミロは大きいわけでも、おしゃれなわけでもない、ふつうの雲。でも、リジーにとっては最高のすてきな雲。その愛情のかけかたを見ていると、なんだかミロがとっても可愛く見えてくるから不思議です。どんな時でも一緒のリジーとミロ。だからこそ、リジーが好きなことも、機嫌が悪い理由もわかるのです。その手を離さなくてはならないタイミングも。
テリー・ファン&エリック・ファン兄弟が、雲をながめる人たちに贈る、ささやかで愛らしいファンタジー絵本。空を見上げるリジーの思い、きっと届いているはずですよね。曇りの日が好きになりそうです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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