これは実際にあったことです。
火曜日のよる8時頃。
静まりかえった池の水面に月の光を浴びて浮かび上がるのは・・・
蓮の葉に乗ったカエルたち!?
一体何が起きているのでしょう。
気がついたら夜空にはカエルがたくさん飛んでいて、どうやら町へ向かっているらしいのです。
みんな同じ方向を向いて、窓の横を通り過ぎ、強い風に吹き飛ばされている干しっぱなしのシーツに巻き込まれ、
大きな屋敷で居眠りをしているおばあさんの横でテレビを楽しみ、犬に追いかけられ。やがて明け方がやって来ると・・・。
言葉で書くと、とても有り得ないような出来事ですが、
実に事細かにリアルな描写で描かれていて、目が釘付けになってしまうのです。
美しく奇妙な景色、不思議な浮遊感、そしてほとんど文章がないのに感じる大きなストーリー性。
まるで映画を見ているような感覚にしてくれます。自由自在なカメラワークが気持ちいい!
アメリカのとある町、とある火曜日に何が起こっているのか、町の人はこの出来事をどう捉えているのか。
来週の火曜日には、また違う何かが起こるのか?
デヴィッド・ウィーズナーの作品の魅力は、なんといっても読む人の想像力が刺激されていくところですよね。
コールデコット賞、絵本にっぽん賞特別賞受賞、日米両国で高い評価を受けている『かようびのよる』。
一度読んだら忘れられない1冊となることは間違いありません。
あ、もうひとつ。カエルたちのユーモラスな表情も意外と愛らしいので、こちらもお見逃しなく。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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