「カポックの木」や「川はよみがえる」を描いたリン・チェリーの絵本です。
「想像してごらん」(imagine)絵本シリーズ全3冊の内の一冊です。(他2冊は未刊)
写真と見まちがうばかりの細密描写の絵に引きこまれて、まるで自分が野原にいるような気持ちになります。
男の子と女の子が葉っぱに生みつけられた小さな卵を見ています。蝶の卵です。「わかるかい これはいのちなんだ。」
そして、絵本は各頁で「想像してごらん」と呼びかけて、読者が卵になってみたり、毛虫になってみたりするように誘います。
すると、人間の想像力はふしぎですね。絵本をめくるたびに、葉っぱと一緒にゆれたり、上に昇っていったり、
小鳥に食べられそうになったりして、とうとうさなぎになってしまいます。そうして羽化するときがきました。
「とうとうきみは チョウになった。
びっしょりぬれたからだ。ふるえている足。」
そして「さあ、空へ!ふわり ふーわり」
まるで自分が蝶になって、大空を舞っているような気持ちになります。
花の蜜を吸い、それから、お相手を探しにとび回ります。
「さあ、だいじな仕事が待っている。
相棒を探しにいくんだ。
こんどはきみが子どもを生むのだよ。」
子どもはこの本に誘われて、容易に卵になったり、毛虫になったり、
蝶になったりできます。他者になることの想像力は小さいときの読書で大きく育ちます。
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