縦にひらくながい絵本「100かいだてのいえ」は、トチくんが手紙をもらうところから始まります。
「ぼくは 100かいだてのいえの てっぺんにすんでいます。
あそびにきてください。」
100かいだてのいえ? おもしろそう! トチくんと一緒に行ってみることにしましょう。
そのいえは、見上げても上の方はかすんでいてよく見えません。
「ごめんくださーい!」
おそるおそる中に入ってみると・・・ここはネズミさんのおうちでしょうか。子どもたちが食事をしていたり、読書をしていたり。おかあさんはせんたくをしているようですよ。そこをお邪魔しながら1階、2階、3階と登ってようやく10階まで着くと、今度はリスさんに出会います。どうやら10階ごとにちがう動物が住んでいるようです。カエルさんにテントウムシさん、ヘビさんにミツバチさん。次々に登場する動物たちは家族みんなで暮らしていて、その部屋の中は本当に素敵! だって、それぞれにぴったりな形の部屋、家具、それに遊び部屋やお風呂まで。みんな見た事がないくらいユニークで独創的なのです。
トチくんは、途中でごちそうになったり、一緒に遊んだり、お手伝いをしたり。60階、70階、80階と不思議な部屋をのぼっていくうちに、どんどんてっぺんに近づいていきます。さて、てっぺんに住んでいたのは・・・!?
10階ごとにページをめくっていき、それが10見開きで100階になります。つまり大きな数を理解できる内容にもなっているこの絵本ですが、子どもたちを夢中にさせているのは、なんといっても作者のいわいとしおさんの遊びごころがつまった100個の部屋です。細かく見ていると、なかなか上に登れなくて、1冊読むのに時間がかかっちゃう!という声にも納得です。
さあ、このドキドキの大冒険。読み終わってからも、さらに想像をふくらませて、自分なりの部屋を考えてみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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