新天地をめざし南へ旅する長い長い冒険物語。その主人公は、草食恐竜トリケラトプスの子リトルホーンです。今から7000万年前のアメリカ大陸、肉食動物たちの奇襲を避けるため、トリケラトプスたちはビッグホーンを中心に群れをなして南へと向かっているのです。
シリーズ5作目となる今回は、旅の途中、大きな海が目の前に広がるところから始まります。
リトルホーンにとっては生まれて初めて見る海、興奮して遊びまわっていると、巨大ガメのアーケロンと出会います。アーケロンはまさに砂浜に自分のたまごを産み終わったばかり。でも、アーケロンはそのたまごたちを陸の上で見守っていることはできないと言うのです。すっかり同情したリトルホーンはこう答えてしまいます。
「アーケロンのおばさん、ぼくがたまごを守ってあげるよ」
そんな約束して大丈夫なのかな?
先へと進んでいたビッグホーンにこの話をし、一緒にたまごを守るように頼んでみると、案の定答えはダメ。トリケラトプスたちにとって、一番大事なのは少しでも早く南の地へ行くことです。他の動物を助けている余裕なんてないのです。
かんしゃくをおこしたリトルホーンは、ひとりでたまごを守る決意をします。
すると、早速たまごの敵たちがあちらこちらからやってきた!
ステノニコサウルス、大ヘビ、カニ、プルガトリウス。
へとへとになったリトルホーンの前にやってきたのは・・・聞き覚えのあるつめたくて、太い声。
それは恐ろしい大型肉食恐竜、ダスプレトサウルスのダスだった!!
リトルホーンはこの究極のピンチをどう切り抜けるのでしょう。
物語の見せ場は、草食恐竜と肉食恐竜の水の中での戦い。そして、史上最大の海ガメ、アーケロンの活躍です。最後には、やっぱりビッグホーンもやってきて。迫力の戦いと、あたたかい気持ちになる親子の物語、両方が味わえます。
恐竜大好きな子どもたちに大人気!黒川みつひろさんの描く冒険物語。リトルホーンが出会っていく恐竜や動物たちの種類の豊富さには、大人もひきこまれてすっかり夢中になってしまいます。
カメは恐竜が出現するより、はるかに古い時代から地球上に生きていたんですね。
巻末では、そんなカメについての知識もイラストとともにわかりやすく紹介してくれています。
さて、リトルホーンたちは無事に南の新天地へとたどり着くことができるのでしょうか。続きが気になって仕方がなくなってしまいましたよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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