木々が高く茂り、星を100個も数えられる広い空。ほうきぼしだって見たことがある! 毎日パパと一緒に学校から帰って、おいしいごはんや素敵なお話をつくったり。朝は日の出を見て、夜は波の音を聞きながら眠る。
これが、わたしのおうち。
でもパパが新しい仕事を探すために引っ越すことになったのは、街。見えるのは灰色の建物と星がたったの7つ。パパはパソコンに向かって仕事ばかり。通りは人混みで何にも見えないし、眠る時に波の音も聞こえない。
……ここは、わたしのおうちじゃない。
大好きだった家を離れ、新しい土地で生活をスタートすることになったレイラ。急におとずれた大きな環境の変化にすぐには気持ちが追いつかない。その戸惑いに胸の奥がキュッと痛みます。
大人の立場だと、新生活を軌道にのせるために気力を奮い立たせてひたすら進まなくちゃいけない。立ち止まるのを忘れてしまうパパの気持ちも、痛いほどわかるのです。
作者のジョー・トッド=スタントンは、今、最も勢いのあるイギリスの若手作家の一人。レイラやパパの心の揺れを、コマ割りで繊細に表現しています。本の中から飛び出してきそうな鮮やかで躍動感あるイラストレーションが印象的です。
ある夜、新しい家からも見えたほうきぼし。地球に落ちて、光の木になったほうきぼしが放った魔法はーー。
レイラの気持ちに寄り添いながら、目の前に広がる幻想的な世界を味わいながら、親子の時間をゆっくり見守ってください。優しく温かなクライマックスが待っています。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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まどから みえるのは、
はいいろの たてものと ほしが ななつ。
ねむる ときに なみの おとも きこえない。
ここは、わたしの おうちじゃない。
パパの仕事のために田舎から街に引っ越こしてきたナイラ。慣れない人ごみ、あたらしい学校はさがわしく、パパは忙しくて家でも仕事をしている。思い出すのは、まえのおうちのことばかり。高くしげった木立、空には満天の星空。まどからは海も見えて、夜は波の音で眠りに落ちる。ひときわあかるく輝いて尾を引く「ほうきぼし」だって見たことがある。
ある晩、あたらしいおうちのまどから「ほうきぼし」が見えた。それは地面におっこちて、「ひかりのき」として芽吹き、ぐんぐん育っていく。あとをおいかけて、そしておいついたとき、「まほう」がはじまった――。
少女のとまどいにやさしく寄り添い、
新しい環境をうけいれられるようになる過程を色あざやかに描きます。
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