安西水丸さんが東京都内12エリアを歩き、残した足あとが一冊の本になりました。
多様な街のたたずまい、通りかかる名所旧跡や思い出の地が、豊富なイラスト・俳句とともに綴られています。
新緑の中「深川めし」を食べる。幼い頃に雨宿りした迎賓館赤坂離宮を通りかかる。勝鬨(かちどき)橋から眺めた夜景の向こうにマンハッタンを見る。止まることを知らず変わりゆく東京において、水丸さんが歩く道は、どこかこうした潮流から解放されている道ばかり。
生まれ育った東京を、最晩年の水丸さんはどう捉えたのか。軽やかなまなざしが光ります。
目次
睦月 飛鳥山から王子神社、名主の滝へ
如月 昭和の名残り漂う「谷根千散歩」
弥生 「目黒のさんま」を聞き、目黒散策に
卯月 キュービズムの絵のような坂の街
皐月 新緑の深川散歩はいいものだ
水無月 雨の四谷荒木町を歩く
文月 月島から佃島へ、そしてまた月島へ
葉月 炎天の上野公園で?時雨を浴びる
長月 東京タワーを見上げ、竹芝桟橋からの夜景を眺める
神無月 神田神保町からの脱出は難しい
霜月 魚河岸、好きな言葉だ
師走 木枯らしは下町によく似合う
あとがきにかえて 岡本仁
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