広い空の中で、だんだんと沈みゆく太陽。すべてのものを金色に染め、空気がひんやりとし、遠くで優しい音がする。
田んぼで、プールの中で、公園のジャングルジムで、買い物帰りにおかあさんと一緒に、部屋の中ひとりで。どんな子のところにも、そこここで生きる全ての人のところに、夕焼けはやってくる。
今日は一日何があったのかな。誰かと笑いあっていたのかな、それともひとりで静かに過ごしたのかな。楽しいことも、くやしいことも、悲しい涙やギラギラした汗までも。夕焼けがすべてを包みこみ、とけていく。そうしてやってくるのが、この静かな夜の空……。
一日が終わる前のほんのひととき。ページをめくるたびに時間は少しずつ過ぎていき、目に飛びこんでくるのは、初めて見るような、どこかで体験したことがあるような、美しくも懐かしい場面の数々。それらを順に眺めていると、不思議と心が落ち着いてくるのです。自分の中の「何か」も、絵本の中に一緒にとけこんでいくようです。今最も注目を集める絵本作家ザ・キャビンカンパニーの最新作。彼らは最後につぶやいてくれます。
「ゆっくり おやすみ。」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
夕焼けは喜びも悲しみも包み込む
だんだんと沈みゆく太陽を背景に、ジャングルジムで遊ぶ男の子、悔しくて石を蹴る女の子、買い物帰りの親子などが描き出されます。それぞれのシーンのいろいろな感情を、夕焼けがやさしく包み込み、誰にでも静かな夜がやってきます。
【編集担当からのおすすめ情報】 ページをめくる度に少しずつ沈んでいく太陽が印象的な、静かに噛みしめる雰囲気の絵本ができました。昭和初期を思わせるような少しノスタルジックな絵で展開する、ザ・キャビンカンパニーの新境地。贈り物としてもいいかもしれません。
夕焼けをモチーフにした様々な場景に、癒やしを感じました。
いろんなことがあった一日を、沈んでいく夕日と、次第に色を変えていく空の色のグラデーションが、心の中の塊を溶かしていってくれるというイメージは安らぎを導いてくれます。
それは季節には無関係なのですね。
柔らかくなった心を、そっと包んでくれる夜も好きです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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