鳴り響くサイレン。町をひた走る赤い車体。事故現場に急行する、消防隊の勇姿です!
どこかで火事でもあったのでしょうか? いえいえ、そうとは限りません。
患者を運び出すのがむずかしい現場や、命の危険が高いと判断されたときには──
「PA連携! ポンプ隊
しゅつどうするぞ!」
救急車と消防車、力を合わせて救助に出動!
『しゅつどう! しょうぼうたい』につづく、消防ファンに送るシリーズ第2弾。戦いの場は火事だけじゃない! 消防隊の知られざる活躍を描いた絵本です。
本書に登場するPA連携とは、救急車とポンプ車が協力して救助にあたること。高いところや狭い場所、交通量の多い危険な場所では、救急車だけではなく、ポンプ車も現場に駆けつけます。
応急処置をほどこして、患者さんを救急車に引き継いだ消防隊。これで大丈夫と安心したのも束の間、司令センターから緊急指令が入ります。
「工場火災発生! ゆうどくガスが発生しているもよう!」
特殊災害対策車に乗り込んで、化学機動中隊、出動! 陽圧式防護衣に身を包み、有毒ガスの漏れ出した現場へ急行します。
東京消防庁千住消防署の協力で、構想から2年以上かけて制作されたという力作! クライマックス、有毒ガスが漏れ出した工場での事故を描いたページは、左右に開く仕掛けつき。細部まで描き込まれた大迫力のパノラマは、人命のかかった現場の緊張感に満ちています。
消防車といえば火事、というイメージを疑ってもいなかったので、本書に描かれる化学機動中隊の活躍には、ずっと目を見張りっぱなしでした。なんて、ものものしい装備の数々! なんて、迅速で統率の取れた動き! 炎や瓦礫といったわかりやすい危険は描かれていないのに、おおきな危険ととなり合わせの緊迫感がひしひしと伝わってくるのは、まったく油断のない化学機動中隊の活動がリアルに描き込まれているためでしょう。
消防ファンにも、はたらく車好きにも! 知られざる消防隊のお仕事に迫る、大迫力のお仕事絵本です。
(堀井拓馬 小説家)
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