アルバートはペットが欲しくてたまりません。けれど、ママもパパもだめだと言うばかり。でもアルバートは諦めません。朝から晩までペットがほしいと言い続けました。するとある日、パパがプレゼントをくれます。包みを開けてみると、出てきたのは、なんとじゃがいも!「ペットのおじゃがくんだ」とパパは言いますが……。
じゃがいもならではの伸びやかなパワーを感じられる、ユーモアあふれる作品。原作はイギリスの絵本で、作者は多くの児童文学作品を手がけるジョシュ・レイシーさん。そして日本で育ち、現在はロンドンを拠点に活躍するモモコ・アベさんがイラストを担当されています。
この作品、ただ単に突拍子もないストーリーというわけではありません。実は「生き物と暮らすこと」「身近な野菜を知ること」など、いろんな切り口から楽しめるおはなしなのです。訳者であるみやさかひろみさんは、この絵本の魅力を「あふれる生命力と多様性」と表現しておられます。改めてアルバートの一家に目を向けると、お父さんは茶色の肌、お母さんは白い肌、アルバートはその中間色の肌をしていることがわかります。そして、一個だったじゃがいもがたくさんになり、ひとりの男の子から様々な背景を持つ人たちの手に渡っていくのです。
ペットにじゃがいも。これは意外にアリかもしれませんよ!
(出合聡美 絵本ナビライター)
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