ずっと、まっていたんだよ
ここはきみの国、いっしょに冒険にでかけよう
大雨の日、ひとりでるすばんをしていた小学生の一平。
おじいちゃんの書斎の、古い机の下にもぐりこむと
いつのまにか、ふしぎな野原にまよいこんでいた。
そこでであった大きなウサギ、ウサキチは一平をキョチとよび、
キョチをずっとまっていたこと、そしてそこはキョチの国だという。
ふたりは、ウサキチがなくした、はねる力をとりもどすため、さいはて山へ旅に出る。
?
心はずむ岡田淳の冒険ファンタジー。
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「おそかったじゃないか。」
と、ウサギは、したしいともだちに不平をいうようにいった。
「おそかった……?」
ぼくは、おずおずとたずねた。
「いつまでまたせれば気がすむんだろって思っていたよ。」
「あのう、いつからまっていたの?」
「ずうっと、だよ。ずうっと。」
「ええっと、きみは、だれ?」
ウサギはもういちど目をまるくした。
「ウサキチじゃないか。きみがなまえをつけてくれたんだよ。わすれちゃったのか、キョチ。」
(本文より)
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