深い深い森の奥に、ちょっと変わった美容室がありました。
やってきたのは、たぬきせんせい。
みんなに頼りにされている「ようかいのもり」のお医者さんです。
出迎えるのは、きれいな美容師のお姉さん。お店は大繁盛でお客さんがいっぱいのため、たぬきせんせいは順番が来るまで待ちます。でも美容師さんはひとりでもなんのその。なが〜い首がにょろりと伸びて、離れた場所にある道具を取るのもお手のもの。お客さまを前から後ろからのぞきこんで、それぞれのリクエストに合った髪型に変身させていきます。
でもお客さんのリクエストは、みんななんだかおかしな様子。 髪がつやつやになってしまって困っているおばあさんに、髪が伸びすぎて自分らしさが隠れてしまった二人組、そして顔色が良すぎて困っている女の人など、ユニークなリクエストが続きます。さらに、毛をそめたいお客さんが勧められている「ブキミナカラー」もとっても気になるネーミング! はたしてそれぞれ誰のリクエストなのでしょうか。
たぬきせんせいもいい香りのシャンプーでふわふわさっぱり、カットを終えた頃、かみなりの子どもたちが大勢やってきました。これにはさすがの美容師さんもお手上げです。帰るに帰れなくなったたぬきせんせいは、ポケットからはっぱを取り出して「ドロン!」 あれ、化けられるなんてたぬきせんせいももしかして!?
こちらは、『ようかいのもり たぬきクリニック』『ようかいのもり まっくらまつり』につづく「ようかいのもり」シリーズの第3弾。この本から読み始めても楽しさ満載ですが、つづけて読んでいると、登場人物ならぬ登場妖怪にすっかり親しみが湧いて、今回もあの妖怪がくるかな、くるかな、と期待も高まりそうです。また繋がっている話題もあるので、楽しみが倍増することでしょう。
作者は、長谷川あかりさん。登場するのは、キュートで可愛い妖怪たちばかりなので、小さな子から楽しめるのも魅力です。また絵のあちこちに遊びが隠されていますので、ぜひいろいろ探してみてくださいね。それぞれ個性的な妖怪たちと、びっくりしたり、ほっこりしたりしながら「ようかいのもり」でたっぷり過ごしてみませんか?
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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