松本清張が亡くなって30年以上がたった今なお、作品に描かれた恨みや妬み、復讐心は特有の「まがまがしい魅力」を放つ。
気鋭の批評家、酒井信(明治大准教授)が、長・短編合わせて1000に及ぶ清張作品から代表作50編を取り上げ、現代の作家の筆致と比べながら、作品が有するリアリティーに迫っていく。
「或る『小倉日記』伝」では、森?外の足跡を追い求める登場人物の姿に西村賢太を重ね、長編の代表作「眼の壁」からは村上春樹の作品との共通項を見いだす。
ピックアップした1950〜90年代の代表作を年代ごとに収め、作品の舞台が一覧できる地図や現代作家との相関図も掲載。清張作品の入門書やガイドブックとしても活用できる。
平成不況や令和のコロナ禍を通して、都市と地方あるいは所得の格差が広がり続ける今、清張の作品から学ぶことは思いのほか多い。
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