アニマル村に住む家具職人のペンギンさんは、年をとったので、今は仕事を引退してのんびり過ごしています。近所に住む動物たちは、そんなペンギンさんのところに様々な食べ物を持ってきてくれるのでした。
「いつも親切にしてくれるみんなに、なにかお礼がしたいなあ」
そう考えたペンギンさんは、お金がないので1日なんでもお手伝いする「1日クーポン券」を作って、みんなに配ることにしました。このクーポン券が大評判。なにしろペンギンさんは腕のいい職人なのです。ところが、このことが後に村に大騒動を起こすきっかけとなっていくのです。
評判を聞きつけた証券会社につとめるタヌキさんは、クーポン券を1000円で買いとり、3000円で売り始めます。するとそれが3万円になり、5万円になり、100万円になり。銀行につとめるキツネさんが融資を提案したことから、最後にはなんと1億円になっていったのです。それでもまだまだ値上がりをすると思っていた矢先、事件は起こります……。
もともとお金の価値がなかった紙きれが、あっという間に1億円! そんなバカな!? と思ってしまうけれど、実際に日本でも1980年代から90年代にかけて「バブル経済」として起きたこと。そのきっかけは、誰もが思う「ちょっと得したい」という気持ち。アニマル村の物語を通して、その仕組みがとてもわかりやすく描かれています。
経済のことをずっと考えてきた森永卓郎さんが子どもたちに一番伝えたかったことは、「お金が自動的に増えることはない」ということ。まじめに働いた分だけお金を稼ぐことが大切だと言います。
大人になった今でも知ったつもりになっていたり、知らぬまま怖がっていたりというのは、よくあること。生きていく上で欠くことのできない「お金」だからこそ、こんな風に絵本を通して子どもの頃から感覚を培っていけるというのは、とっても大事なことかもしれませんよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む
《発売即重版! 森永卓郎さんがのこした唯一の絵本》
ペンギンさんは、腕のいい家具職人でしたが、いまはもう、引退しています。
アニマル村に住むどうぶつたちは、助けあってくらしています。仕事をやめたペンギンさんに、みんないろいろな食べものをもってきてくれます。
ある日、ペンギンさんは、いつもお世話になっている近所のひとに、お中元を贈ろうと思いました。
ただ、会社を退職しているので、お金がありません。
そこで、「1日まるごと なんでも おてつだいします」と書いたクーポン券を近所のおうちに配りました。
腕のいいペンギンさんのおてつだいクーポン券は大人気!
そのひょうばんをききつけた、証券会社のタヌキさんは……?
もともと、ペンギンさんが無料でくばったクーポン券が1000円になり、3000円になり、最後にはなんと1億円になってやがて、ただの紙くずになってしまうまでのアニマル村の大騒動。
ものの値段はどうやって決まっていくのか。
まわりの人が儲けてみえるとき、自分も儲けたいという気持ちはなぜ止まらないのか。
値上がりを期待してお金を借りて手に入れることはなぜおそろしいのか。
アニマル村の物語を通して、わかりやすく伝わります。
〈森永卓郎さんから子どもたちへメッセージ〉
みなさんに伝えたいことは、「お金が自動的に増えることはない」ということです。
お金が増えるのは、働いたときと、人から奪ったときに限られます。
投資をすると、一見お金が増えたように見えるのですが、それは「バブル」が生じているからで、バブルは必ずはじけます。
バブルがはじけたときに、被害を受けるのは、最後まで投資を続けた人です。
つまり、投資というのは、ババ抜きと同じゲームなのです。
ですから、投資でお金を稼ごうなどと思わず、まじめに働いてお金を稼ぐことが、人生で何より大切なのです。
*すべての漢字ふりがなつき
*小学校低学年から
*オールカラー32ページ
続きを読む