フェリシモ出版の「おはなしのたからばこ」シリーズ第8弾は、日本昔話「三枚のお札」……ではなく、『三枚のカード』です。
舞台は現代の日本。父母をいっぺんに交通事故で亡くし、住職をしているおじさんの寺に引き取られた男の子。『三枚の札』の話を読んで「鬼ばばに会ってみたい」と昔話に倣って、栗拾いに行くことをおじさんに申し出ます。
おじさんは今の時代にはもう鬼ばばなんていないと思いますが、普段家の中にこもって、本を読んだり、ネットゲームばかりしている甥に冒険をさせてみるのもよかろうと思い、優しく送り出してくれます。
寺を出ていく前、男の子は鬼ばばに会ったときに自分を守ってくれるよう「三枚のお札」……ではなく、おじさんの札入れに入っていた「三枚のカード」を抜き出して、大都会の盛り場に飛び出していくのです。
男の子が出会う鬼ばばとは一体……。おじさんの財布に入っていた「三枚のカード」はどのように男の子を救ってくれるのでしょうか……。
日本昔話でおなじみの『三枚のお札』を詩人・谷川俊太郎さんが現代風に独自の解釈を加えて創作した、全く新しいタイプの物語。黒を基調とした下谷さんのイラストは、ユーモアがありながら、根底に奇妙な“怖さ”が流れてくるよう。
不可思議な世界をのぞいてみたい方にオススメです。
(木村春子 絵本ナビ編集部)
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民話の「三枚のお札」を土台に、谷川俊太郎さんがパロディ化して作り出された新作。
「三枚のお札」には和尚さんがくれたお札のおかげで、鬼婆から逃げきった小僧のお話。
お札のかわりにカードを携え、逆に鬼婆に会いたいと夜の街に出て行った少年は……。
絵は下谷二助さん。下谷さんの底力を発揮した作品といえるでしょう。
公園のベンチで焼き栗を食べている女も変だし、ギターを爪弾きながら寂しい歌を歌う女も何か妙だ。
少年が壁辟易している表情もどこかおかしい。
ページをめくる楽しさと驚き、どことなく不穏な気配に引きつけられていく絵本です。
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