「出会いから生まれた絵本」 内田麟太郎
幼児虐待を受けられたY子さんが、わたしのホームページを訪ねてこられたのは、三年ほど前だっただろうか。
わが子を抱けない─という苦しさに、病院へ行かれたらしい。
そして「内田麟太郎さんの絵本を読まれるといいですよ」と、教えられたという。
掲示板への書き込みは重く、わたしは非公開のメールアドレスをお伝えした。わたしもまた継母に愛されない子だった。
だから自力だけでは自分を助けられないことを知っていた。愛してくれる人に出会わなければ。わたしはY子さんにいった。
「あなたを助けられるのは、あなたのお子さんです。愛がなくてもいいから、まねっこで抱っこされたらいかがですか」。
抱っこされた子どもたちのうれしさはどんなだったろう。
その笑顔がY子さんの凍りついていたこころを、ゆっくりと溶かしていった。
まっ先にY子さんに届けたい絵本です。
味戸ケイコさんより
絵本「まねっこでいいから」をそっと静かに差し出したい。
初めてトックン、トックン いのちの音を聞きあうお母さんと子供。
初めてサラサラ、サラサラ いのちの光を浴びるお母さんと子供。
初めて心から笑いあうお母さんと子供。
「まねっこでいいから」の絵を描かせていただいた私は、震えるほど嬉しくてたまらない。
今回ほど絵本の力を信じたいと思ったことはありません。
(瑞雲舎HP「作者からのメッセージ」より)
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