|
雪をふらせるのがへたなゆきんこ十二郎とやさしい娘ミネの「ゆきんこ十二郎」など,雪がこんこんとふる晩に,むかし話。
読み終えてなんだかしんみりしてしまう三つの作品からなる『ゆきこんこん物語』。
確かに、雪の日のもてあます時間にはぴったりの作品です。
「ゆきんこ十二郎」
雪をうまく降らせることができない、雪女の12人兄弟の末っ子の十二郎。
自分に優しい娘のミネのために、一生懸命努力するのですが、十二郎の失敗でミネは、人買いに売られていく羽目になります。
怖い話なのかもしれないのですが、十二郎の健気さがいじらしくて、しんみり。
「おにひめさま」
なだれにまきこまれて、大名行列から一人助かったお姫様。
助けてくれた老夫婦のやさしさを、殺そうとされているという大きな勘違いで殺してしまいます。
人を信じられない性がお姫様を鬼に変えてしまう。
ちょっとしたことから鬼になってしまうのが、人間の弱さ。
邪気溢れる作品ですが、どこかたまらなく切なくて、しんみり。
「ベッカンコおに」
鬼と知り合った盲目の娘。
やさしくされて夫婦になります。
自分には禍が降りかかると言われながらも、娘の目が見えるようにと薬草を探していたところ、娘の父親に鉄砲で撃たれてしまいます。
勘違いが生んだ悲しみ。
鬼は心優しくても、やはり鬼なのでしょうか。
差別と障害者の話はどうしても、哀愁が溢れていて、しんみり。
井上洋介さんの絵のおどろおどろしさに対して、3作とも心洗われるようなお話。
でも、現代っ子にはこの、味わいは難しいかもしれません。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子15歳)
|