『ねずみくんのチョッキ』にはじまるロングセラーシリーズ、第27作目のお話。
どうやら、ねずみくんに、元気がありません。
下を向いて、しょんぼり歩いています。
心配したあひるさんがバク転してみせたり、さるくんがしっぽで逆さにぶら下がったり、アシカさん、くまくん、ぞうさんがサーカスみたいな曲芸を披露しても・・・ねずみくんが笑ってくれないんです!
「どうしちゃったのかなぁ? ぐあいがわるいのかなぁ?」
何をしても元気がでないねずみくんに、みんなが困っていると、ねみちゃんがやってきました。
「どうしたの?」
トントンと肩をたたかれて、ふりかえったねずみくんは・・・?
さて、ねずみくんはどんな顔をしたでしょうか。
(私たちがしょんぼりしちゃっているとき、理由はいろいろだけど、笑顔の瞬間は、あまり変わらないかもしれませんね。すごく単純で、でも、すてきなこと!)
それにしても、親身になってくれる仲間がいっぱいいて、ねずみくんったら、しあわせものですよね。
みんなの心配する顔、おどける顔、拍手する姿が、ページをめくるたびにころころと鮮やかに変わります。
販売部数累計500万部を超え「ねずみくんシリーズ」が読み継がれるのは、上野紀子さんが鉛筆で描く「動き」や「表情」に、飽きさせない魅力があるからにちがいありません。
今作品のベースカラー、灰味のある藤色のたたずまいのように、素朴だけどちょっぴりしみじみして、とても愛らしい作品です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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