大好きなコンビ谷川俊太郎さんと和田誠さんの最新作は、なんだかすごい絵本。 森のくまは、はちみつを探して歩き、家族ができ、やがて老いていき・・・。 一方テディベアは、場所は変われど何一つ変化することなく、そのガラスの目に世の中を映し続け・・・。 「くま」と「テディベア」を“いのちのあるもの”と“いのちのないもの”として並べ、物語がすすんでいくのです。こんなに直接的に比較してしまう絵本は他にあったでしょうか。驚くのは、言葉だけはなく、絵、字体、デザインまで表現を変えているという徹底ぶり。生きているくまとテディベアの表情、似ているようでやっぱり違うのです。 いのちとは?幸せとは? 大人の私達には簡単に読むことができても、その問いが深く深く心につきささってくるのです。きっと子どもたちにはもっとダイレクトに伝わっているのでしょうね。 どこまでもシンプルなテーマに挑み続け、その表現は常に実験的かつ普遍的。作品から二人の作家としての姿勢をも感じとることができるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
自然のなかでくらす“もりのくま”と、ぬいぐるみの“テディベア”。 それぞれのうえをめぐり過ぎていくのは、異なるそれぞれの時間。 生きることとは? そして、幸せとは? 谷川俊太郎さんと和田誠さんが、誰もがいくどとなく対峙するこの問いを、 真摯にみつめた絵本です。
もりのくまと、テディベアを、時間軸の中で対比した絵本です。
もりのくまは、生を受けてから、恋して家族をつくり、そして死んでいきます。
最後に、
「目をつむり落ち葉の上に横たわり、静かな溜息ひとつして」
とあって、とても叙情的な文章です。
それに対して、テディベアは、子供部屋から屋根裏、そしてアンティークショップへと居場所を変えても、けっして目を閉じることはありません。
最後に、
「ガラスの目玉に 世の中映して」
とあって、まるで詩のようなエンディングです。
表紙の絵と題名からは、とても想像できない内容でした。
子供への読み聞かせも良いのですが、大人が読んでも心に染み入る作品だと思います。
谷川俊太郎さんの文は、いつ読んでも琴線に触れるものがあります。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
|