昔、誰からも愛される小さな女の子がいました。中でもおばあさんのかわいがりようといったら大変なもので、あるとき、おばあさんはこの子に赤いビロードの小さなずきんをあげました。女の子はこのずきんが大好きでいつもかぶりたがったので、この頃から赤ずきんと呼ばれるようになりました。 ある日、赤ずきんは病気のおばあさんにお菓子とワインを届けるようにお母さんから頼まれました。「お行儀よく、道から外れて歩かないように」とお母さんが言うと、赤ずきんは「だいじょうぶ、ちゃんとやってみせるわ」と答え、手を振って出かけて行きました。
グリム童話の代表作『赤ずきん』に、英国人画家ワッツがイラストをつけました。ワッツは、「色の魔術師」と呼ばれるワイルドスミスのもとで児童画技術を学んだ経験があり、たくさんの色をふんだんに使ったパステル画の本作品にもその影響が見て取れます。花畑の風景は、暗い森の中にあって明るさが浮かび上がるように表現されとても鮮やか。恐ろしいオオカミとかわいらしい赤ずきんの会話を、美しい色合いで演出します。 森の自然描写と共に印象的なのが、オオカミの存在。石をおなかにつめられ、死んでしまうところは残酷であるけれどこっけいにも映り、単刀直入に善悪が描写されます。オオカミという恐怖の対象は、18世紀ヨーロッパでは日々の恐怖そのものであったのでしょう。こういった事実をそのまま子どもたちに伝える作風に、作者の誠実な姿勢が感じられます。原作に忠実な邦訳はわかりやすく、原文のよさがじっくり味わえます。 ――(ブラウンあすか)
有名なグリムの赤ずきんのお話を,昔話のこわさ,おもしろさをそこなわないよう原作に忠実に訳しました.はなやかな色彩の新鮮な絵が,美しいドイツの森深く,読者をさそいこみます.
知らない人のいない“赤ずきん”ですが、
私が知っているつもりになっていたお話は、
かなり端折ったものだったことに驚きました。
童話には、
シンデレラが焼いた鉄靴で継母を死ぬまで躍らせたことのように、
毒を孕んだような内容で、
子どもにとっては端折ったほうが良さそうなものもありますが、
赤ずきんは、どの部分も省略しない方が良いですね。
この絵本を見つけて、
娘達には、正確なお話と素晴らしい挿絵を届けてあげられることが嬉しくなりました。 (ももうさ♪さん 20代・ママ 女の子2歳、女の子0歳)
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