戦争中の学校生活、授業、疎開などについて紹介しています。遠く離れた親戚に身を寄せた東京の子どもが体験した疎開の毎日とは。何もかもが不足した中で、子どもたちを導いた先生は何を思ったか。絵本で学ぶことができます。
戦争体験者の語りを絵本で紹介しているシリーズの第4巻です。
この巻は戦時中の小学校(当時は国民学校)がどうだったか、都会からは疎開があったことを伝えています。題材としては特異性がないだけに、今まで読んだ中で少しインパクトは弱いのですが、体験者の肉声から語られているので意味深いと思います。作品外にある当時の学校生活、疎開の状況に意味を感じました。
2編の話が載っています。
第1話
「みんな小さなへいたいさん」 山本省三:文 / 田沢春美:絵
愛知県岡崎市の国民学校の生活が描かれています。
大きなドラマはないけれど、山本省三さんが子ども目線で書き綴っているのが印象的。いろいろなことがあって大変だったこと、やっぱり平和がいいと思わせるお話です。当時の先生たちが語っています。
第2話
「ぼう空ごうコンサート」 井上こみち:文 / かべやふよう:絵
東京からおばあちゃんの住む地方に疎開した兄弟の思い出話です。多くのいとこに囲まれた生活、村の子どもたちとの生活、苦労話とともに当時がのびのびと書かれています。
中でも、一緒だったいとこの最年長のお兄ちゃんが音楽好きで、防空壕の中にオルガンを持ちこんで聞かせてくれた自作曲の音楽が印象に残っています。
そして、敵機が飛び交う空で日本機が体当たりして歓声を上げる上げる子どもたちと手を合わせるおばあさん(空の上で一人の日本兵が死ぬところを見たわけですから)。
思い出すといろいろなことが語られるのでしょう。
余談ですが、この絵本シリーズの文章、絵の作者は表には出ないのですが、それぞれの絵本ナビでの作品を確認すると、それぞれ自分の作風の中で戦争を語っていることが感じられ、作家を追いかける上で貴重かと思いました。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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