全国の都市を覆った空襲の恐怖を、体験者にお話いただき絵本にしました。父のある言葉で、東京大空襲をからくも生き延びた少年。平和な芦屋を襲った空襲で、家族、隣人を失った少年。日本を焼き尽くしたその恐ろしさの実態を紹介する
戦争体験者の語りを絵本で紹介しているシリーズの第6巻です。
この巻は突然の空襲のために日常を壊され、逃げまどう人たちを生き残った人間の目から語っています。ドラマチックな(ゴメンナサイ)お話ではないので、野次馬のような感覚で読むと印象は弱いかもしれません。多分それは、いろいろな話を見聞きするうちに出来てしまった先入観のせい。
2つの話が載っています。
第1話
「ほのおに飲みこまれた町」 山本省三:文、絵
1945年3月10日といえば、東京大空襲の中でも最大規模の空襲の話です。舞台の浅草は、東京下町が焼け野原になった一部。
まさに地獄絵図の様相ですが、話は淡々としています。当時工業学校に通っていた三上さんにとって、あまりの惨劇に感情よりも事実として心に残っているのでしょう。幸い家族は全員助かりました。
それだけはホッとさせてくれました。
第2話
「今もわすれない、空しゅうの夜」 戸田和代:文 / 曽根悦子:絵
こちらは終戦直前の神戸芦屋地区。
ここまでは来ないだろうと思っていたら、それも終戦直前に空襲に見舞われたのです。
大空襲ではなかっただけに、亡くなった人は運が悪かったというのでしょうか。
空襲では助かった家族でしたが、焼夷弾でやけどをしたお兄さんが終戦後亡くなります。お父さんが発疹チフスで亡くなります。
これも戦争のためでしょう。
戦争は、空襲や攻撃で死ぬだけではないのですね。
社会全体が戦争に包み込まれて、人々は苦しんでいたのだと思いました。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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