「ママ あのね…… きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこが きたんだよ。」
おやすみ前のベッドの中で男の子はママに話します。 その子はくまのこ、名前は「よるくま」です。 よるくまは、夜みたいにまっくろくて、胸のおつきさまがひかってる。 どうやらお母さんを探しにきたみたい。 目が覚めたらいなかったんだって。
ここから男の子とよるくまの夜の冒険が始まります。 こんな可愛い子をおいて、どこにいったんだろうね。 ふたりでよく行くお店や公園をまわってみますが、お母さんは見つけられません。
「もしかして もう とっくに おうちにかえったのかもね。」
ところが、おうちに帰ってみてもお母さんはいません。 とうとうよるくまの目から夜みたいにまっくらまっくろの涙がこぼれてきて…。
小さな男の子が、大好きなお母さんを探すよるくまのために奮闘する、素敵な夜のファンタジー絵本です。物語の後半で登場するよるくまのお母さんの大きなこと。子どもたちがみんな抱きつきたくなるような憧れのお母さんです。男の子も、きっとそんなよるくまのお母さんの優しさに触れながら、自分のお母さんのことを思うのでしょうね。ふかふかして気持ちよくていい匂い…。それは、この絵本を読んでいるたくさんの子どもたちと同じ気持ち。
さあ、そのままゆっくり幸せな眠りについてね。 「おやすみなさい」。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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母と子、そして子どもだった私たちの心に響き。母の匂いあたたかさを、思い起こさせる上質なファンタジー絵本。
【安藤パパ】 「パパ、コレ、ヨンデ!」。3歳の息子がこの絵本を本棚からチョイスするのは決まってママが仕事で不在のときだ。「ママ、あのね・・・」。読み出すとヒロシはよるくまに感情移入、「おかあさんは?」と、よるくまが涙するシーンでは一緒に泣き出してしまうこともしばしばだ。 そう、本書は母親と子どもの愛情確認がテーマだが、同時にワーキングママへの応援絵本でもある。いつもママと一緒にいたいけどいられない保育園児のさみしい気持ちと、それを痛いほど感じながらも、仕事したい本能や生計のために働く母親の葛藤が交錯し、読んでいて切なくなってくる。 「おかあさん、どこいってたの?」。よるくまが、やっとのことで母親と出会えた場面ではヒロシもニッコリ。きっとその笑顔は、母親が保育園に迎えに行ったときに見せるものと同じなのだろう。
はじめてこの絵本を読み聞かせたとき、働くママたちのために書かれたんだと思いました。よるくまが、ママを捜して男の子所にくるシーン。男の子がママを一緒に捜すシーン。そのどれもが、きっと保育園児の娘達にとっては、心に響いてしまうのでしょう。
よるくまが泣き出すと一緒になって探している、と次女がまだ小さいとき言っていたのを思い出します。
そして、いつも私が泣けるのは「おまえはあったかいね」とよるくまのママが抱きしめるところ。もう、大きくなってしまったので、抱きしめることはすくなくなりましたが、今でも小さな頃の娘達の「だきあと」が自分の体の記憶にしみ込んでいます。 (セルバさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子5歳、男の子0歳)
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