「やまなかすすむさんは中央線の車掌さん。明日は一番電車に乗るのです。」
大友康夫さんの電車絵本、どんな物語だろうとワクワクしてページをめくると、
いきなり時計が出てきて朝3時半、自動起床装置なるもので目を覚ます車掌さんの姿が。
・・・これは面白い予感!!
その後も時計が分刻みで表示され、車掌さんの持ち物が細かく描かれ、今日の天気や注意事項を確認する様子まで。要するに車掌さんのお仕事がとてもリアルにわかる科学絵本でもあるのです。そして、読んでいるこちらの興奮度がどんどん上がってきた頃、まだ夜が明けきらなくて薄暗い三鷹駅4時22分のホームの中に、始発の中央線の電車が登場します。「でんしゃばんごう よし」「いきさき よし」「こうぶライト よし」。
ここから先は、実際に絵本でじっくりと楽しんでほしいところですが、とにかく車両から時刻、小道具など鉄道ファンが読んで嬉しくなるほどリアルに描かれている部分(それもそのはず、作者の竹村さんは元JRの車掌さん!)、時間帯とともに変化する乗客の雰囲気や車掌さんの仕草、景色など、大友さんならではの細かく愛情にあふれた表現、その組み合わせがこの作品をとても魅力的なものにしています。
この絵本を読んでから中央線に乗ってみたり、車掌さんのお仕事の真似をしてみたり、実際の景色を確かめに行ってみたり(笑)。
中央線に乗ったことのある子から中央線を知らない子まで。そして、小さな子どもから大人まで。
みんなに長く愛されそうな、傑作電車絵本がまた一冊誕生しました!!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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