
昔、カワウソ村と呼ばれ、村人はお宮に入れないなど、差別されている村があった。ある年、カワウソ村の才三は宮相撲が見たくて…。福岡県筑後地区の古老の語りを採録した民話集の1篇を、読みやすく再構成した絵本。

部落問題を扱った絵本を探していて行き当たった絵本です。
福岡県筑後地区に伝わる、被差別部落の民話だそうです。
被差別部落の人たちが、人間とも思われず穢れた存在として疎まれていた背景が生み出した重い話です。
どうして被差別部落の才三は、宮相撲の見物も参加もできないのでしょうか。
横綱として横柄さの塊のような権助との対比が強烈です。
相撲で不意を突かれて屈辱を味わった権助は、才三を虫けらのように殺してしまいます。
部落民は虫けらだったのでしょうか。
こんな不条理を、長谷川義史さんが描いたことに、拍手を送りたい作品です。
差別について考える、大人のための絵本でした。
(ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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