これは「石のスープ」のおはなしです。 「えっ、石のスープ?」と、誰もが不思議に思いますよね。 石のスープって、どんなものなのだろう・・・そんな好奇心が、このスープの味付けなのです。
舞台は中国。戦争や災害で村人の心がすさみ、自分の事しか考えなくなってしまった村に、3人の旅の僧が立ち寄ります。他人に無関心な村人たちは、誰も僧たちに気を留めません。でも僧たちが「石のスープ」を作り始めると、好奇心から村人たちは窓を開け、徐々に鍋の周りに集まり・・・そして僧の言葉に応えて次々と食材を持ち寄り、ついにはできあがったスープを囲んで交流をはじめるのです。
各地に伝わる民話をもとにしたおはなしで、類似の絵本もいろいろ出ています。そのなかでこの作品の優れているところは、僧たちが村人を騙すのではなく、気づきを与えることで、村人たちに他人と触れ合う楽しさや喜びを思い出させてくれるというところ。読んだ後にあったかい、幸せな気持ちになれるのです。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
中国のお話。村人たちがお互いを信頼できなくなっている村を、三人のお坊さんが訪ねます。石でおいしいスープを作るというのです…。
登場するのは灰色の服をきた3人のお坊さん。
表紙をめくっても色はありません。
娘達が自ら手に取ることはなかった絵本かもしれません。
「人を幸せにするものは何でしょうか」と若いお坊さんがたずねます。
その答えがきっと見つかるはずだと思ったのか
娘達は最後までじっと聞き入っていました。
旅人を寄せ付けない灰色の村で
お坊さんが石のスープを作り始めると
勇気ある女の子が石と鍋を持ってきます。
鍋から煙が出始めると次第に人が集まり、
それぞれが材料を持ち寄ります。
それまで人のために働くことのなかった村人が
みんなで作るスープを旨くするために力を合わせ始めたのです。
答えは見つかりました。
幸せは石のスープをつくるのと同じくらい簡単なことで
誰もが平等に得ることができるものなのだと思いました。 (事務員さん 30代・ママ 女の子6歳、女の子4歳)
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