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この「ツバメの谷」は“上巻”を読んでしまったら、もう下巻が読みたくって仕方なくなります。
ウォーカーきょうだいたちはティティとロジャが見つけた素敵な谷とピーター・ダックの洞穴でのキャンプを楽しんでいます。
ランサムの描く世界は本当に素晴らしく、渓流や草木の音、時折現れる自然界の動物たちの姿を、私たち読者にまるで目の前で映像でも見ているようにみせてくれます。
本当に素敵な、素敵な谷です。読んでいると、ここへ行ってみたくなります。
“下巻”のほうはツバメの谷から、「カンチェンジュンガ山」への登山探検がメインになります。
作者の伏線の使い方はきめ細かく、それぞれのキャラクターが活きているからこそ描かれるもので、その対処や動きが、ほんとに起きたことのように伝わってくるので、更にすごいなぁ〜と、感嘆してしまいます。
今回は特にティティの活躍が多くて、「ティティ、がんばれ〜!」「さすが、ティティだなぁ」なんて思いながら読んでいきました。
とにかく“上巻”の感想でも書いたとおり、リズミカルにテンポよく子どもたちの冒険が進んでいくので、“下巻”も上巻に負けずあっという間に読み終えました。
いろいろ紹介したいシーンや思いはたくさんありますが、それをここにすべて書いてしまうより、たくさんの子どもたちに自分の目で読んで、この物語の面白さを実感してほしいと思います。
なので、ここにはなかでも一番気に入ったシーンだけ書いておきます。
「……三十年たって、私があなた方のところへ泊りにきたら……」(と、ウォーカーきょうだいのお母さん)
「おかあさんを、どこへもやるもんですか。」と、スーザンがいった。
「泊まりにくるってことはありませんよ。」と、ジョンがいった。「行かせやしませんから。お母さんはいっしょに暮らすにきまってます。」
うぉ〜っつ!!ジョン、ジョンんていいい子なの〜!
年頃の子どもを持つ母としては、涙が出そうな一言です。
この物語はウォーカーきょうだいと同世代の子どもたちが読んでもとっても面白いですが、
こうして大人になってから、親の目線で、自分の子どもくらいの子どもたちの冒険を(この物語に登場する「キャプテン・フリント」のような立場として読むのも、なかなか乙であるなぁと、改めて思いました。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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