まず目に入るのは、『これがほんとの大きさ!』などでも人気のスティーブ・ジェンキンスの描く動物達の美しさ。
画面からまっすぐこちらを見つめてくるつぶらな瞳を見ていると、どうやらまだ小さな赤ちゃんなのでしょうか。
貼り絵なのだけれど、体温や鼻息まで伝わってきそうです。
そして、「こんにちは あかちゃん!」「あかちゃん、あなたはおさるさんかな?」と呼びかけが始まります。
すると、ちょっと不思議な感覚になるのです。
絵本の中の動物と、読んでいるママと、読んでもらっているあかちゃんの対等な三角形が浮かんできます。
あかちゃんがかばさんやヤマアラシくんに見えてきたり、おさるさんやライオンさんがあかちゃんに見えてきたり。ママはどちらに話しかけているのでしょう。
どちらにしろ、この絵本を読んでいると、可愛くてたまらない赤ちゃんを見つめたり触ったりしているママの姿が思い浮かんできます。
赤ちゃんはどうでしょう。そんなママの呼びかけに幸せそうに応えているのでしょうか。目の前にいる自分よりも大きな知らない顔たちに見入っているのでしょうか。
どんな空間が生まれてくるのか、家庭によってきっと違うのでしょう。声が届くのが楽しみな一冊ですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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