11歳の少女オーブリーがひとりで暮らして一週間になる。 パパと妹は自動車事故で亡くなり、そのうえ、ある朝ママがいなくなってしまったのだ。 おばあちゃんの家に引っ越したオーブリーは、徐々に新しい生活になじんでいく。 ある日、ママの消息がわかり…? 心に深い傷を負った少女が、まわりの人々のやさしさに包まれて立ち直っていく姿を描く感動作。
11才の女の子オーブリーは、家族旅行中の自動車事故で、父と妹を亡くした。その車を運転していた母は心を病み、ある日突然、家を出て行ってしまう。家族を亡くし、母から置き去りにされたオーブリーの心の傷の深さは計り知れず、物語のテーマは重い。しかしそれにも関わらず、読み手にとって比較的読み進めやすい作品になっているのは、オーブリーを取り巻く人々の温かさゆえだろうか。
こんな大きな喪失感に打ちのめされている子どもに対して、いったいどう接したら良いのか?戸惑いもあって当然だが、祖母、隣人、学校のカウンセラーなどの援助、接し方は自然で心地よい。みんな素敵な人達だ。また辛い気持があっても、少しずつ新しい環境を受け入れていこうとするオーブリーは聰明な子どもだ。この先きっと、母との新しい関係もうまく築いていくことだろう。
オーブリーはひとりぼっちになった時に金魚を飼い始めた。何も言わなくていい、ただ寄り添ってくれる存在が(たとえ水槽の中の小さな金魚であっても)いかに人の心を慰めてくれるかということを強く感じた。
明るい表紙の絵は、オーブリーが心の危機を乗り越えて前向きに生きていくことを暗示しているようだ。栞ひもは、表紙の絵に良く合う淡い紫、スミレ色。「今日はここまで・・」と栞ひもを挟む度に、オーブリーに同化して辛くなっていた心がその優しいスミレ色に慰められた。こんな経験は初めてだった。ちょっとしたことだが電子書籍では味わえないことだと思った。嬉しかった。 (なみ@えほんさん 50代・ママ )
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