ラリーとは、何日もかけて争う車のレース。
レース場ではなくて、街の中や野原や森を走るのです。
そして、この絵本で行われるビッグラリーは地球をぐるりと一周する壮大なカーレース!
ウサギやワニ、セイウチやライオン、そして魚(!?)まで。動物たちがそれぞれ自慢の車のエンジンをふかしてやる気まんまんで準備しています。
よーい、ドン!
いっせいにスタートしたレースですが、これがもうてんやわんやの大混乱。
車がボキッと途中で折れてしまったり、地図を間違えてまっすぐ海へ飛び込んでしまったり、いねむりをしてしまったり・・・こんな状態で、一体ゴールにたどりつけるレーサーはいるのでしょうか。
世界を股にかけたこの大騒ぎを描いているのが2011年度ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌受賞作家のヨッヘン・シュトゥーアマン。絵画の様に美しく重厚な絵なのに、ポップでユーモア感あふれる雰囲気。迫力のある崖のコースや広大な砂漠の風景があるかと思えば、凝りに凝った乗り物や洒落た服装。そしてどこまでも細かく描かれた小ネタの数々。画面の隅々までじっくりしっかり見ないと見逃してしまいます。
実況中継風の軽やかなセリフは、レースの状況を教えてくれるとともに、関係者へのインタビューなども行われ、レーサーの裏話や過去の栄光、そしてとんでもないトラブルの終始、その表情を事細かに伝えてくれます。
なんてみどころ満載の絵本なのでしょう。
どの場面も圧巻!
驚いたり、笑ったり、細かい突っ込みをしてみたり・・・みんなで何度でも大騒ぎしながら読みたくなる一冊です。ちょっとシュールで大人なユーモアもちりばめられたこのドイツの絵本、是非体験してみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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