小さめサイズで赤と青の鮮やかな表紙が目に飛び込んでくるのは、いしかわこうじさんの新シリーズ「のりものしかけえほん」2冊。乗り物を「りく」と「そら」で分けています。
「りく」の乗り物として登場するのは、バスやスポーツカーや電車、消防車など。
まずページをめくると乗り物の名前。隣のページにはシンプルな、でもしっかりとリアルな絵が登場します。名前を覚える図鑑のような形としてもぴったりです。
この絵本が本当に面白いのはここから。
しかけを開くと乗り物の絵が走りだすのです。(本当に動くわけではないですよ。)実際の風景の中で生き生きと乗り物が活躍する姿が描かれているのです。バスならお客さんを乗せて、トラックは荷物を積んで、汽車なら鉄橋を渡り、走っていきます。同じくシンプルな線と色で描かれているのに不思議な体験です。世界が広がっていくようですね。
更に名前が書いてあるページには、登場した乗り物がミニカーの様に並んで1つずつ増えていきます。同じ乗り物でも、実際に活躍している姿とミニカーのようにおもちゃとなっている姿が一緒に見られるのです。ここに喜んでしまう子も多いでしょうね。
そして最後のクライマックスの場面へとつながります。
いしかわこうじさんの絵本は、小さな子が喜ぶのはもちろん、大の大人が手にしてもワクワクしてしまうところがすごいと思うのです。その秘密は、とことんこだわりぬいた線、色、そして本の作りそのものがとても美しい!ということ。
子どもと一緒に読みながら、乗り物を見て興奮した子どもの頃の記憶をたどってみるのも楽しいですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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