雛壇に可憐に並んだ雛人形たちが、とても華やかな表紙のこの絵本。
みんなおすましして可愛らしいですよね。
でも実は「自分たちの住む家は自分たちで探す!」なんて言って冒険に出ちゃう、斬新でアクティブなお話なんです。
真夜中の雛人形のお店から、おひなさまたちの声が聞こえてきます。
「私たちだけ残っちゃったわ」「こうしちゃいられないよ」
売れ残ってしまったおひなさまたちは、なんと住む家を自分たちで探すために、外へ出発するのです。
ところが、すでにこけしがいたり、五月人形がいたり。なかなかいい家を見つけることができません。
その時、川の方から何か流れてきます。
それは、紙のおひなさまを川へ流して、子どもたちが病気をしないようにと祈る「ながしびな」たちでした。
そこで、おひなさまたちも一緒に藁の舟に乗って川下り!降りた先でやっと見つけたのは、ぼろぼろの古い家。
さあ、どうするおひなさま?
自分たちの住む家を自分で探して、きれいにして、おふろにも入って(!?)、楽しい宴の用意もして。なんだかとっても楽しそう!こんな前向きなおひなさま、読んだ後に元気になってきちゃいますよね。女の子のお祝いだからって、大人しくしなきゃいけないわけじゃない…っていう雰囲気に喜ぶ女の子もいるのでは?
本物の着物の生地も使っているコラージュの絵はとっても美しくてチャーミングですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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