「どこどこ どこんこ」「てんつく てんつく」「かっから かんから」
これ、何のリズムだかわかりますか?
「さんとこ さんとこ」「かかっか かっか」
たろうが打ち鳴らす、太鼓の音。この音色が物語のもう一つの主役なんです。
こんなに色々な表現があるなんて、驚きですよね。
舞台は日照りが続く村。困り果てた村の衆は、太鼓名人たろうの家にやってきます。
「おまえの太鼓で 雷神様に雨のお願い してきておくれ」
「あいよ、がってん」
たろうは太鼓をかついで、雷神様を探しに出かけます。途中で出会うのは、つくしやカラス、河童まで!たろうは太鼓の音色を変えながら、見事に会話をするのです。更にどんどん先へ進み、天狗が出してくれた不思議な階段を「だだだ だんだだん」走り抜けるととうとう…!?
後半の雷神様との太鼓の鳴らしあいの迫力には息をのむほど。そして、龍の登場で画面は更にダイナミックに。太鼓の音も激しく盛り上がっていきます。最初はのんびり大人しく見えていたのに、最後の場面のたろうのかっこ良さと言ったら!!
作者の庄司三智子さんは絵本作家の他に、和太鼓講師という顔も持っているのだとか。絵本に使われているフレーズの、その殆どが和太鼓の「口伝」を元にしているそう。どおりで声に出せば出すほど、段々体の芯からリズムに乗ってくるのを感じるはずです。
「ででんこ でんでん すててこ でんでん」
日本文化の表現の豊かさを全身で楽しめる絵本、これはもう体験してみるしかないですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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