やぎたみこさんの新刊と聞いて、「次はどんないきものが登場するのだろう?」と期待してしまう人は私だけではないはず。そして表紙には、緑でまんまるで期待を裏切らない愛くるしさで空を飛ぶ主人公の姿が!うんうん、やっぱり面白そう。…でも一体この子は何ていういきもの?
まんまるハオちゃんは、山奥の一番高い岩山で生まれた龍の子です。
3つのたまごのうち、最後にかえったハオちゃんは生まれた時から太ってまんまる。そんなハオちゃんを見て龍の家族は大喜び。なかなか飛ぶことも、雲をつくることもできないハオちゃんに、雲のうきわをつけて一緒に練習をしてあげるお兄ちゃんたちなのです。
ところがある日、いじわるせんにんちゃんがやって来て、飛べないハオちゃんをからかったから大変。お兄ちゃんたちとせんにんちゃんがケンカになって大暴れ!龍のきょうだいがくもキックやくもヘッドを投げつけると、せんにんちゃんがきたかぜパンチの竜巻で応戦するものだから雲がみんな雪になって地上へごろごろごろ…このままでは雪崩になっちゃう!そんな時に意外な活躍をしたのは、なんと我らがハオちゃん。
がぼ ごぼ ばごごごご
え!?
何が起きたのかは読んでからのお楽しみ。
それにしてもハオちゃん。すごい技を持っています。そして、ものすごい姿になっています。
こんなの見せられちゃったら、どれだけ怒っていても、落ち込んでいても、全部忘れて思わずふき出してしまいます。
みんなの大事な天気や季節が、こんな無邪気な子どもたちに左右されていたとしたら。それがもし本当だとしても、ハオちゃんのこの無垢な表情を見ていたら許せちゃいますね。
そして、そうやってこのハオちゃんの本も、たくさんの人の家で愛される存在になっていくのでしょうね。
うちにもハオちゃん来てもらおうかな。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む