「たまごサーカス」。なんてスリリングなネーミングなのでしょう。
想像するだけでヒヤリとしてきちゃいますよね。
実際に「ぼく」もピエロの真似をして卵をほうりなげ、
ぐしゃっ!!と、割ってしまったばかり。
おかあさんに叱られ、ふてくされてベッドに入ると…つんつん、こしょこしょ。
足をくすぐっていたのは、なんとたまごのピエロ。
彼らに招待されたぼくの目の前に広がっているのは、豪華絢爛たまごの大サーカスです!
色とりどりに着飾った観客たちを前に、団長が声をかけると音楽が始まります。
♪われやすいのがたまにきず〜
切実な表情をして歌い上げられちゃったら、心配になってきちゃうのだけれど、
♪そんなことにゃあ まけられない いつも えがおでうたうのさ
なかなか頼もしいたまごたちなのです。
お手玉みたいに小さなたまごを放り投げたり、大きな熱々のフライパンを振り回したり。
なんといってもメインは空中ブランコ!
いち、にの、さん…びゅんっ!!つるりっ!!
「あ、あぶない!!」
色鮮やかな衣装に包まれて、明るく時には不気味に笑顔を向けるたまごたち。
繊細なコラージュで美しい舞台、ユーモアたっぷりの表情、不思議な世界をつくりあげているのは絵本作家ふくだじゅんこさん。目が離せなくなる魅力があります。
ハラハラドキドキの展開ですが、最後のブランコのりのセリフにはしびれちゃいますね。
「みんなさわぐんじゃねえ。われるのがこわがってちゃ りっぱなたまごとは いえねぇぜ」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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