自分が小学生だったら、こんな絵本に出会いたかった!
ショートカットが似合っている女の子の名前はサラ。
一人っ子のサラのおともだちは、物置の奥にねむっていたホーキのララ。
サラは絵本の中の魔法使いみたいに、自分もホーキで空を飛びたくなります。
「飛ぶならお飛び、飛ばなくてもお飛び」
ララは飛ぶどころか動きもしません。
「飛びたくないなら飛ばないで」「飛びたくなったら…飛びなさい」
「飛びたくなったら飛んでみて」
ララは少しだけふわりと浮かびました!!
でも、どの言葉が正解なんだっけ?
なんだか不思議、でもとても現実的でもあるような。
ララはとても個性的な魔法のホーキのようです。
サラは自由に空を飛べるようになるのでしょうか。
物語は、ララのさり気ない後押しとともに思わぬ展開へと進んでいきます。
「鼻を行きたい方に向ければいいのよ」「いいえ、行くのよ」「あなたはもう大きいの」
印象的な言葉を口にするララ。青く澄んだ、広くて大きな空に向かって飛び出していくサラ。
この場面、読む人はどのように捉えるのでしょう。
「気持ちいい!」「ちょっと怖い」「さびしい?」「わたしも…」
どの感想も受け入れてくれるほど、美しい風景がいつまでも心に残ります。
沢木耕太郎さんの惹きこまれる文章と、とても清々しくて可愛らしい絵。
新しいヒロインの登場にドキドキしてしまいます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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