もうすぐ5歳になるうさぎくんは、ママと相談して、おおきくなったお祝いにお誕生会を開くことにしました。
「ぼく、もうおおきくなったから、なくのはやめる。そんなのあかちゃんのすることだもの。」
きっぱりと宣言したうさぎくんは、「もうおおきくて、なかないこ」ばかりお誕生会に呼ぼうと、お友達をたずねて歩くのですが・・・
りすも、ねこも、いちばん年上の馬さえも、「ないてしまうから、いけない」というのです。
家に帰ったうさぎくんは「くるひとが、いないかも」とママに伝えます。
そうするとママは静かに、ママだって泣くことがあることを打ち明けるのでした。
「ママもなくの?」びっくりしたうさぎくんは、あれこれママにたずねます。
泣く理由は色々あるということ。おおきくなっても、たまには、泣いたっていいということ。
うさぎくんはママとお話しながら、少しずつ「泣く」ことの色々を想像してみるのです。
おおきくなったうさぎくんを見て、ママがうれしくて泣くこともある、っていうこと・・・。
作者のケイト・クライスとM・サラ・クライスは米国イリノイ州生まれの姉妹。
姉のサラ(絵)は6人兄弟の3番目。妹のケイト(文)は6人兄弟の4番目。
自分たちの子どもの頃の経験をヒントにした絵本を、姉妹で一緒に作り出版しています。
2人は幼い頃、部屋が同じだったそうで、どんなやりとりが幼い少女同士の間で行われていたのか想像するだけで楽しくなります。
個人的には、りすちゃんが泣くページと、馬さんが泣くページがかわいらしくて大好き!
スモーキーな色合いが目をひく色彩や、絵のタッチに、あたたかみとユーモアがあります。
親子で安心して楽しめ、じんわり笑みがこぼれるような絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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