天気が良かったので、のはらにお花をつみに行こうと女の子が出かけます。
しばらくいくと目の前に表れたのは、大きな黄色の「やじるし」!?しかも身体には「のはら」の文字が。
こんなすまし顔のやじるしを見てしまったら、そっちの方向に行かない訳にはいかないよね。
ところが、あれれ?・・・着いたのは海!のはらじゃないの?
なぜか一緒についてきていたやじるし。下の方向を向いて、さきっぽをすこし折り返し、あっという間に船に変身します。女の子を乗せて、プカプカ スイスイ、気持ち良さそうです。
このやじるしさん、あんまり正確ではないみたいだけど、結構臨機応変なんだね。なんだか変な感心の仕方をしていると、いつの間にか女の子と船は空の上!更に雨もふってきて・・・。
無事に、お花のあるのはらにはたどり着けるのでしょうか。
海が空に、魚が鳥に、雨がお花に・・・めまぐるしく変わる場面転換と、それに呼応するやじるしの大活躍ぶりが楽しくて、ページをめくるのに夢中になってしまいます。
青中心で描かれた背景の中にあって、黄色のやじるしは存在感もばっちり。美しくて可愛い絵にも惹き付けられます。
それにしてもこの主人公のやじるし、不思議な魅力を発していますね。頼りになるんだか、ならないんだか。色々な表情も見せてくれます。
あ、大きなクマに出会った時のとっさの行動は一番「らしさ」を発揮していたかな。
でも、おかげでお散歩は寄り道だらけで大回り。それも悪くないんだけどね。
人気の赤ちゃん絵本『つみき』(中川ひろたか・文 平田利之・絵 金の星社刊)でも、センスが光っていた平田利之さん、初の創作絵本です。
新しいのに懐かしい、そんな雰囲気の絵本を何度でもお楽しみください!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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