1980年代に日本で出版されている本です。図書館で見つけて借りてきたのですが、かなり年季が入っていました。
再話者のD・ナギーシキンはシベリア生まれで、ジャーナリストとして働きながら、その地方の民話を収集してきたそうです。
一方、挿絵を描かれているゲンナーディ・バヴリシンはハバロフスク市生まれで、この絵本の副題には『アムールの民話』とあるのですがハバロフスク市はアムール川を中心に栄えている町で、、まさにこの物語の地方で育った方です。
表題作のほかにこの本には『きんのくびわ』という話が載っています。
『がちょうになったむすめ』は自分があまりに美しかったため“自己愛”欲が強く、いつしかガチョウの姿に変わってしまったという話で、
『きんのくびわ』の方は、自分の富を愛するあまり、自ら大切な息子を殺す羽目になってしまった男の話。
どちらも人の強欲を伝えた話で、とてもロシアっぽい民話だなと、思いました。
アムール川はどちらかといえば日本に近い、ロシアの極東地方なので、美的感覚や文化的感覚もほかのロシアの物語に比べ、日本人の感覚と似ている気がします。
とにかく、ゲンナーディ・バヴリシンの挿絵はとても繊細で美しく見ごたえがあります。
1編1編とても短いお話なので、小学校の低学年くらいのお子さんからでも十分読めると思います。
絵の好きな方、昔話の好きな方にはぜひ手にしてもらいたい1作です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子13歳)
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