ふと夜空を見上げると、そこには黄色いまんまるのお月さんが今夜も大きく浮かんでいます。
優しい月明かりが照らす丘の上には、評判のぼうしやさんが一軒。
このぼうしやさん、どんなに難しいぼうしの注文があっても必ずその人にぴったりのぼうしを作ってくれるのです。それが、たとえ魔女の親子のとんがりぼうしや荒波の航海にもへっちゃらな海賊船長のぼうし、ましてやハトやウサギを一瞬で消してしまう手品師のシルクハットだったとしてもね。
そんな様子をみていたお月さんは、ある晩おじいさんに自分用のぼうしを3種類オーダーします。
お月さんがかぶれるくらい巨大なぼうし!?
さすがのぼうしやさんもそんな大きなぼうしは今まで作ったことはないはず。果たして、お月さんの望みどおりのぼうしを作ることができるのかしら。そしてもし、お空のお月さんが自分のぼうしをかぶることがあったとしたら、地上にいる私たちには一体どんな風に見えるのでしょう?
私たちがいつも見上げる夜空のお月様。子どものころ不思議でしかたがなかった、どこまでも追いかけてくる大きなお月様。私たちの夜に彩りを添えてくれるその美しい姿から絵本作家の高木さんごさんと黒井健さんは、月の満ち欠けに纏わるとても優しいファンタジックな物語を創造されました。もしお月様が、お空でこんなお洒落を楽しんでいたのならそれはうっとりするような素敵な光景ですよね。
今晩のお月様は一体どんなぼうしをかぶっているのかしら。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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