いかつい風貌(ふうぼう)、こわいかおした、しかめっつらのおじさん。
これは・・・どろぼうかな? それともおまわりさん?
せいかいは、ようちえんバスの運転手さんなのです。
名前は「おおやまさん」。
いつもきびしいかおで運転席に座っていて、「みぎよし!」「ひだりよし!」しか言わないおおやまさんは、子どもたちに人気がありません。
おこると、ボスゴリラのようになるといううわさもあります。
でも、あるひ・・・?
子どもの目からみた、ようちえんバスの運転手さんのお話。
こわいはずのおおやまさんが、園児のいないところでチューリップににっこりしたり、古い椅子の修理をしたりしているのを「あるひ・・・みてしまった」子どもたち。
ぼくも、ゆかりちゃんも、たいちくんも、最初は半信半疑。
それが納得に変わるのが、節分の豆まきの日でした(この日からおおやまさん、みんなに大人気!)。
画面いっぱいに描かれた、おおやまさんのかおは、インパクトたっぷり。
読み聞かせようと、ページを開いたとたん子どもが笑い出すほどです。
明るい色づかいのなか、よく見知った園の風景が展開し、子どもたちは、すーっと絵本に没入していきます。
わが家の5歳の娘は翌朝起きて開口一番「おおやまさん、もういっかい、みせて!」と母のところに来ました。
これは・・・「こわいかお」みたさ?
いいえ、きっと娘も大好きになってしまったにちがいありません。
子どもたちの信頼をかちえたおおやまさん!
大人にもちょっぴり胸にずんとくる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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