目ん玉ぎょろり、ぶっといツノとキバがはえたオニ。
でも表紙のオニは、ちょっぴり膝をよせて困った顔をしているように見えます。
なぜって・・・つよいはずのオニが、村一番の嫁をもらって飯炊きをさせるつもりだったのに、オニよりもつよい「およめさん」が来ちゃったから!?
井上よう子さんのテンポよい文章に加え、吉田尚令さんが描くインパクトの強いぐいぐいっとした線、コミカルな表情、日本民話風の繊細な色づかいが魅力的。
吉田尚令さんは絵本の仕事に『悪い本』(作・宮部みゆき)『パパのしごとはわるものです』(作・板橋雅弘)などがあり、さまざまな挿画や挿絵で存在感のある絵を描かれる、注目の絵描きさんの一人です。
「おらがよめになる」と立候補した娘「とら」と、オニのかけあいがどんどんすすむこのお話は、一見、昔ながらの民話に見えて「あたらしい創作民話」とのこと。
なるほど、オニの能天気なかお、情けないかおが、笑ってしまうほど人間くさい。
従来の民話とはなんだか違う種類のおかしみを感じます。
お話にあっという間に引き込まれるおもしろさを、子どもと体感してくださいね。
だいじょうぶ。オニもおよめさんも、つよいけど、こわくありませんよ!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む