スヌーピーのコミックス『PEANUTS』のファンの方でなくとも、「ライナスの毛布」といえば、聞いたことがあるかもしれません。
『PEANUTS』おなじみのキャラクター、ライナス。指しゃぶりと「安心毛布」がトレードマークの男の子です。毛布がないと不安でしかたがない彼は、何をするにも毛布を持ち歩いています。
ライナスの赤ちゃんみたいな行動を心配している、彼のおばあちゃんが来週来ることに。毛布をとりあげるつもりだと言っています!ライナスの姉のルーシーをはじめ、それまでに彼を毛布から卒業させようと周りは躍起になります。ライナス自身も、どうにかして毛布なしで過ごそうと四苦八苦。いじらしくも涙ぐましい奮闘ぶりが、ユーモアたっぷりに描かれます。
この本は、『Happiness is: スヌーピーとしあわせのブランケット』というアニメーションをもとに作られた80ページのストーリーマンガ。1つのお話をじっくりフルカラーで楽しめます。アニメーションでも、何気ない会話や愉快なドタバタ劇の中で、ふと人生について考えさせられてしまう、それも『PEANUTS』の魅力のひとつ。
怖いときや寂しいとき、その気持ちを吸い取ってくれるライナスの毛布について、誰もが思い当たることがあるはずなのです。
「みんなだって、だれかにたすけてもらったり、なにかにたよったりしてると思うよ。」
「自分はだいじょうぶだって人いる?」
というライナスの言葉にはっとします。
本の最後にアニメーションの制作資料が紹介されています。
キャラクターたちの顔や靴を描くときの作画のポイント指示書など、興味深い資料が見られますよ。
あの町へ、あの登場人物たちのところへ連れていってくれる、『PEANUTS』のアニメーションの世界がぎゅっと詰まった一冊です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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