おばけの夢を見て夜中に起きてしまった、たっくん。また寝て怖い夢をみたらいやだなと思っていたら、猫のポロンが「じゃあ、真夜中の探検に行こうよ」と誘ってくれた。
初めて出る真夜中の町。
ぺたぺたぺた、ぺたぺたぺた。
足音がおっかけてくる。まさか、おばけ?
ポロンが、これはたっくんの足音だよ、真夜中は静かだから、音がひびくんだよと教えてくれる。何もかもが昼間と違う。
いつも遊ぶ雑木林にきてみると、ふくろう、うさぎ、へびがおしゃべりをしていて、「今日はうまくばけたね、くるんちゃん」と、謎めいた言葉をかけてくる。誤解をとく間もなく、みんなでかくれんぼをすることになり、おにになったたっくんが、目をつぶると……。
夜、みんなが寝ている時間に自分だけ起きているって状況、ドキドキしませんか。見慣れたおうちの中も違って見えるし、知っている町も、お友だちの家も、よそゆきのかおをしているような気がします。そんな魔法のような時間を切り取った、ワクワクする物語が展開していきます。
雑木林の中でのスリル満点のかくれんぼは、意外な展開になり、さらに不思議な出会いがたっくんを待ち受けています。ちょっぴり怖いけど、なんだかとっても楽しそう! 私も仲間に入れて! と言いたくなってしまいます。
たくさん遊んでぐっすりのたっくん、夢を見ながらにこにこ。もう怖い夢は見ないかな。
(光森優子 編集者・ライター)
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