「おうちでんしゃが、まもなくはっしゃしまーす。
おのりの おきゃくさまは、おいそぎください。」
ぶかぶかの上着に本物の運転士さんの帽子をかぶったさとしくん。
後ろには、おとなりのお家に住むかおりちゃんが同じようにぶかぶかのぼうしと上着を身につけ、切符にしるしをつける昔ながらの車掌さんのはさみを誇らしげにかかげています!今日はいつもの「電車ごっこ」とは様子が違いますよ。どこから見ても本物の運転士さんと車掌さんみたい。それもそのはず、さとしくんのおじいちゃんとおばあちゃんが若い頃に使っていた本物の運転士の帽子と車掌さんのはさみをもらったんですから。二人はもう、大興奮!乗客は、さとしくんのおじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんの4人。机の上に、目覚まし時計、ラジオ、リモコン、おなべを並べれば立派な「おうちでんしゃ」の運転席が完成です。さて、家族を乗せた「おうちでんしゃ」は一体どこへ向かうのかな?家族全員の想像力を燃料にして、「おうちでんしゃ」は空高くぐんぐんとのぼっていきます。町をこえ、雲のトンネルをくぐりぬけ、おじいちゃんとおばあちゃんが生まれた山の村を目指していくのです。
乗り物に乗ることの喜びや発見を絵本に描き続けている『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』の間瀬なおかたさん。いつもは本物の電車やバスが登場しますが、今回はなんと「おうち」が電車となって空を飛んじゃいます!おうちが電車のように空を走る様子や空から見える山や海の景観に子どもも大人もワクワクさせられます。そして、「おうちでんしゃ」が夕焼け色に染まりながら帰っていく様子に、一日中遊んで美味しい夕飯が待ちきれずお家に帰る子どもの気持ちを思い出してしまいます。どこまでも広がる子どもの想像力を一緒になって楽しんでくれるさとしくんの家族も本当に素敵なのです。
そしてもちろん、間瀬さんがこれまでのご自身の絵本の中でずっと描き続けている愛車・日産フィガロもさりげなく登場していますから見つけてみてくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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『でんしゃでいこう でんしゃでかえろう』の間瀬なおかたが贈るファンタジー絵本
さとし君は、お隣のかおりちゃんと電車ごっこを始めました。窓際の机は、ラジオや時計を並べて運転席になりました。色紙で作ったのは、切符です。「おうち電車が発車しまーす。お乗りのお客様はお急ぎください」。運転手のさとし君がいうと、家族のみんながやってきて、「空までお願いします」車掌のかおりちゃんは、空色の切符にパチンとハサミを入れました。すると、おうち電車が空へと浮かび上がり…
「おばあちゃんが生まれた山を見たいわ」「海へいきたいな」おうち電車は、さとし君の運転で町の上を走り、山へ、海へ、時間さえ超えて、家族の行きたいところを飛び回ります。
「ごっこあそび」だからこそ行き来できる空想の世界を描いたお話です。
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