農場でネコが寝ていると、大きな声でおんどりが鳴きました。
気持ちよく寝ているときに叩き起こされることほど、腹立たしいことってありません。
しばらく考えて、ネコはいいことを思いつきました。
そうだ、得意の魔法を使おう!
次の日、おんどりが息をいっぱい吸い込んで声を出すと、「チュー、チュー、チュー」
あれ?
次に目を覚ましたブタが口を開くと、「コッコ、コッコ、コッコ!」
あれれ?
周囲を見てみると、めんどりたちは「ブウ! ブウ!」、ヒツジたちは「ワン、ワン」と吠えながらかけまわっています。
これは、大変。猫がかけた魔法のせいで、動物たちはみんなパニックに……!
動物たちが口を開くたびに、意外な鳴き声に変わっているのが笑いを誘います。明るい色彩と、力強くのびのびしたラインで描かれる、動物たちのすっとぼけた表情や途方にくれたかお、仕草がとってもパワフル。
そして、絵だけではなく、大きな声や音には大きな文字、うねるように並ぶ文字、はじけるような文字など、文字から受けるインパクトもすごい。
うわあ、うるさそう! とか、あらら、大変そう! など、ページをめくるたびに農場の動物たちのにぎやかな声が聞こえてきそうなのです。
意外な鳴き声と動物との組み合わせを楽しんだり、どの動物とどの動物の声が入れ替わってしまったのかな? と確認しながら読むのも面白い一冊です。
さて、いたずらネコの魔法の結果は……? 読んでみてのお楽しみ!
(光森優子 編集者・ライター)
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